コワーキングスペースを運営していると大学生と会話するケースも多いのですが、その際の話題の一つが就職先の会社選びの話です。会社選びの基準については人によってさまざまですが、常々気になっているのは就職金企業ランキングというやつです。大勢のライバルに打ち勝って就職人気企業に入社できること自体はすごいことですが、もし安定した企業に就職したいということであれば就職人気企業から選ぶのは間違っています。
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就職人気企業は学生でも知っている『有名企業』であって、他にも安定企業や良い会社はたくさんある
就職人気企業というのはようは、学生でも知っている『有名企業』です。就職人気企業というのはさまざまな会社が出しているので、検索で上位に出てきたキャリタス就活2019のランキングを参考にさせていただくと。
- 日本航空(JAL)
- 伊藤忠商事
- 全日本空輸(ANA)
- 三菱東京UFJ銀行
- トヨタ自動車
- 三菱商事
- サントリーグループ
- 東京海上日動火災保険
- 資生堂
- 東日本旅客鉄道
となっています。11位以下は上記のリンクから参照していただきたいですが、誰もが知っている企業ばかりが並びます。もし、この中に知らない企業が多い学生は日経新聞でも読むところから始めないと就職は厳しそうです。
では、次に見てもらいたい企業ランキングあります。それは年間の離職者が少ない大企業です。これは東洋経済ONLINEの記事です。
- 北川鉄工所
- 大日精化工業
- 三井不動産
- エフ・シー・シー
- ダイヘン
- 日本曹達
- ツムラ・不二製油グループ本社・三機工業・キッツ・小林製薬
※7位は同率
一般的には知られていない企業が多いです。離職率が低い大企業100社と就職人気企業100社の双方に入っている企業は少ないです。ざっと見た感じでは「任天堂」くらいしか見当たりませんでした。
離職率が低い企業は普通に考えて安定した良い企業である可能性が高い
離職率が少ない大企業1位の「北川鉄工所」は1,257人の従業員がいて7人の離職者です。これは驚異的な数字です。詳細はわかりませんが、これまで退職者が多いベンチャーや中小企業中心で働いてきた私としてはありえないと言ってしまう数字です。家庭の事情で辞めざるを得ない人だけでももっといそうな気がします。
で、離職率が低いということはそれだけその会社で長期間に渡って働く人が多いということですが、それは仕事内容や給料、待遇が良いということだけでなく会社の業績が安定しているという証でもあると思います。どれだけ給料、待遇が良くても会社の将来に不安があれば見切りをつけて退職をする人も出てくるものです。
逆に言えば、世間的には花が無い企業が多い。少々、語弊のある表現だとは思いますが、世間的には花が無い企業が多いです。だから誰も知らないわけです。こういった企業は多くの場合、企業相手の事業をしており、数年先までの仕事が決まっていることが多く、社会に対してCM、宣伝等をする必要がないので一般的にはあまり知られていないというわけです。
就職人気企業は多くの場合、『有名』である必要がある企業
上にあげた就職人気企業の中には、仕事が厳しいと有名な企業も含まれています。おそらく学生にはわからないでしょうし、一般的にも厳しい企業とは思われておらず、就職できたと言えば将来は安泰だねと言われる企業です。
先ほど、安定した企業は宣伝をする必要がないから誰も知らないと書きましたが、『有名』企業はその逆です。一般の人に宣伝をし続けないといけない事業をしているが故に誰もが知っている企業になっています。いわゆる B to C型の企業が多く含まれています。一般の人を相手のビジネスは『有名』ではありますが、長期に渡って安定しているのかというと怪しいものです。ですが、就職人気企業にはそのような企業も多数含まれています。また、人気企業というのはたくさんの人を採用することができるので、退職者は織り込み済みで、競争させて良い人間を残していくという形になっているケースも多いです。
就職人気企業というブランドに左右されずにやりたい仕事を探してもらいたい
何が言いたいのかというと、学生に相談されたときにも同じことを答えているのですが、就職人気企業というのはいわばブランドです。でも、そのブランドは10年先、20年先もっと将来にわたって通用するブランドであるかはわかりません。安定したいということであれば、先にあげたような離職率の低い企業から選ぶというのも一つの方法かと思います。
会社というのは、学校や家庭以上に長時間に渡って関わっていく場所ですので、そこにストレスはできる限り少ないに越した方が良いです。だから就職人気企業という周囲の声に左右されるのではなく本当に自分のやりたい仕事を探してもらいたいと思っています。
ですが、新卒時には大企業に行ってもらいたいと思っています。中小企業やベンチャーを進める人がいますが、大企業の方が良いと思います。この点については別の機会にまとめたいと思います。