今日のYahoo!ニュースに「本当に堂々と休める? 有休取得が義務化、「言い逃れ」できなくなる企業」という記事が掲載されていました。先日にサマータイム反対という内容の投稿をしたところ、多くのアクセスをいただいたのですが、今回の有休義務化も欧米を比較に出すのですが、制度導入をしたい人にとって都合の良い数字だけを提示して制度導入をするという流れはなんとかならないものでしょうか。
目次
ヨーロッパ・アメリカそして日本で文化が異なるので特定の制度の利用率だけを見て真似るのはいかがなものか
サマータイムの導入反対では、そもそも緯度が違うなど背景が異なるからヨーロッパ等の制度導入をもってくるのはどうかと書きました。また、情報システムがこれだけ普及した中で制度導入は簡単ではないとも書きました。
さすがにサマータイムは実害が大きい(実現が不可能)な業界などから反対が強く出ています。また、EU諸国ではサマータイムの廃止の世論が強いという情報も広く知れ渡るようになりました。
有休消化率が低いと言われるが休暇日数全体で考える必要があるのではないだろうか
有休消化の話になるとすぐに欧米との比較となります。このニュースの記事の中にも以下のような一文があります。
旅行予約サイトの米エクスペディア調査(17年)では、ドイツやスペイン、フランスなど12カ国・地域が有休消化率100%に上るのに日本は50%で最下位でした。
このように書かれると日本の有休制度が活用されていないと感じます。ですが、有休というのは休暇制度の一つです。他の休暇制度と合わせて見ていく必要があるのではないかとの疑問が出たので少し調べてみました。そうすると、
日本は祝祭日の数は世界1、2位を争うトップクラス
調べていて驚いたのですが、日本は祝祭日の数では世界1位、2位を争うトップクラスのようです。世界1位、2位を争うと書いたのはソースによってインドなどの休日数が異なるのです。以下のJETROの世界の祝祭日を見るとインドの方が多いように思います。
日本は祝祭日として年間16日あります。一方でアメリカは10日、ヨーロッパ諸国は7~10日ほどのようです。つまり有休という形で個人の意思での休暇は少なくても法定休日は日本は多い可能性があります。※世界各国の法定休日数はよくわかりませんでした。
自分の意志で取得するというのは日本人の気質として言い出しにくいという面があるように思うので、祝祭日という形でみんなで一斉に休むという制度は日本人的に感じます。
欧米と一括りにするが、ヨーロッパとアメリカもかなり異なる様子
そもそも欧米の制度を見倣う必要はあるのかな
明治維新に欧米諸国に追いつこうとした名残なのか、欧米の制度が優れているという形、見倣わなければいけないという形で語られるケースが多いです。「海外では~」の下りで話をされるのが個人的にはあまり好きではないです。
私を含め、日本で生活し働いている人にとって海外の制度の背景というのは実感としてよくわかりません。海外旅行程度では理解することはできず、現地で数年間働かないと制度自体を理解することすら難しいと思います。さらに宗教観の違い、地政学的な違いなどから完全に理解できないことも多くあると思います。
だいたいにして「海外では~」の下りを使う人は都合の良いことしか語りません。下記の記事を読むとヨーロッパとアメリカではビジネスマンの仕事に対する考え方の違いがあるということが書かれています。簡単に言うとヨーロッパよりもアメリカの方が仕事に対する使命感が強いと書かれていて、アメリカでは体調が悪くて出社する人も多いというようなことが書かれています。
日本で有休取得しにくいのは他人に迷惑がかかるという仕事の在り方に要因があると思う
先に紹介した記事に、「人に仕事をつける」のが日本型、「仕事に人をつける」のが欧米型とありますが、まさにそのとおりだと思います。また、契約が会社との雇用契約であって具体的な仕事と結びついていない(仕事が明確ではない)という側面もあると思います。
自分にしかできない仕事を持ってるということは自分が休めばその仕事は滞ることになります。そして日本人の他人に迷惑をかけないようにするという気質と相まって有休を利用しないという結果になっているのだと思います。
この制度で苦しむ中間管理職が増えるのかなと
私が経営者だから有休の強制取得に反対な記事を書いているのだろうと思われるかもしれませんが、別にそういうわけではありません。むしろ、サラリーマン時代のことを思い出して書いています。いつか詳しく書こうと思いますが、そもそも私が会社を辞めたのは何十人も部下を持つ立場でしが「残業時間を減らせ」「でも売上はあげろ」と言われたからです。会社からは何のアイデアもなく現場でそのようなことができるとしたら、今までサボってた場合だけではないのかと強く思いました。結果的に労働時間は減りましたが、私はうつ病ぽくなってしまい、辞めました。そんなことがきっかけでいろいろとあって退職したわけですが、おそらくこの制度の導入で苦しむ中間管理職の人が増えるだろうなと思いました。
経営者も嫌がるかもしれませんが、経営側の問題は極論すればお金の問題だけです。ですが、現場というのはお金だけではなく現場のオペレーションに影響がでます。すでに書いたように日本は「人に仕事をつけている」状態です。そして業務の効率化が進む中で1人で運用しているようなワンオペの環境も増えています。営業職では各クライアントには1人しか担当を配置していないケースも多いです。そのような状況を改善せずに休暇制度だけを推し進めれば、管理職に負担が大きくなるのかなと想像します。
日本の管理職って他の社員に比べて何倍もの給料をもらっているわけではありません。多くの場合、月額数万円の違いで、多かったとして1.5倍程度です。その報酬に対してのストレスの増え方が比例していないのは問題だとよく感じます。最近、スポーツ界では「パワハラ」が話題ですが、管理職側の負担が急激に上がっているように思います。この休暇制度もその一つとなると思います。
もっと全体を見た改革が必要なのではないかと疑問に思う毎日です。だからこうしたら良いという答えを持ち合わせているわけではありません。強く思うのは現場に押し付けるのではなく、会社として(もっと言えば社会として)仕組みを考えていくようにしていかなければいけないということです。その結果として、多くの人が長期休暇を取れるようになり、見聞を広めることができるようになれば、個人にとっても社会にとっても良いことだとは思っています。