今日は日曜日ということもあって、いつもの堅苦しい内容はやめて、今週のお題の「読書の秋」をテーマに書きたいと思います。
今日、紹介するのは、先週に3回目の読破をした宮城谷昌光著の「楽毅」です。
目次
キングダムのレジェンドで後世に諸葛亮孔明が目標にした「楽毅」
「楽毅」という人物そのものが何をした人なのか、どういう人なのかということは知らなくても「キングダム」や「三国志」が好きな人であれば頭の片隅にはその名前があるのではないでしょうか?
と言っても「キングダム」や「三国志」で活躍するわけではありません。
キングダムでは、過去の東中華の大将軍としてその名が出てきます
戦国中期の大将軍として紹介され、某国寸前までいった燕を復興させ、大国斉への逆襲を果たしたと紹介されます。
諸葛亮孔明が自分を管仲・楽毅になぞらえたという
上記のキングダムの画像でも書かれているように三国志の諸葛亮孔明が自分のことを管仲・楽毅になぞらえていたといわれます。
管仲は、春秋時代の桓公に仕えた宰相で、桓公を春秋五覇と言われる覇者の筆頭に押し上げた人物です。
管仲・楽毅の共通点は、内政、外交、軍事の全方面において活躍したことと、君主に信頼され、自分の力量を存分に発揮できたことです。
管仲は、春秋時代の最初の覇者である桓公の宰相であったことや、「管鮑の交わり」という故事があることから楽毅よりも有名ですが、楽毅にも関連した故事があります。
「先ず隗より始めよ」という故事は楽毅に関連した故事・ことわざ
「先ず隗より始めよ」という故事を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?しかしながら、意外とその意味や語源を知っている人はいません。まして、楽毅と関連しているということを知っている人はあまりいないです。
「先ず隗より始めよ」の由来は、楽毅自身が発したことばではありません。斉への復讐を果たしたいと考えた燕の昭王が天下の人材を集めたいと考えたときに郭隗という人物にどうすればよいかと尋ねたときに、郭隗は「今、王、誠に士を致さんと欲せば、先ず隗より始めよ」と言いました。これが「先ず隗より始めよ」の由来です。
「王が本当に人材を集めたいのであれば、まず、この隗を師事しなさい」ということです。その意味は、遠くにいる優秀な人物を得たいのであれば、身近にいる優秀な人物である私から師事しなさい。私のような才能の人物に仕える王であれば、私以上の才能の人物が王のもとにやってくるでしょうということです。
昭王は、郭隗を師として仰ぎ、黄金台と言われる建物を建てたと言われています。そしてその結果、遠くやってきた優秀な人物というのが楽毅です。
結局、楽毅はどんなことをした人物なのか?
楽毅が活躍した時代の状況
楽毅がどんなことをした人物なのかということを語る前に、楽毅が活躍した時代はどのような時代かというと北の大国の趙の武霊王が全盛の時代です。武霊王はキングダムに登場する恵文王の前の王で、趙の国に胡服騎射(簡単にいうと騎馬兵、それまでの中国では戦車兵が主流)を取り入れ、趙を軍事大国とし、趙の版図を最大にした王です。
一方で東の大国である斉は、孟嘗君が宰相にによって一時は大国となるものの孟嘗君を疎ましく思った湣王が孟嘗君を宰相から罷免し、湣王は軍事力による領土拡大を目論もうとしていました。
そして、その斉によって、燕という国は攻めれられ、領土を大きく奪われていたというのが楽毅が登場する前の状況です。
楽毅の中山国出身
楽毅は燕の将軍として活躍するのですが、その出身は中山国という小さな国です。
中山国は、趙と燕と接した領土の国で、斉からもほど近い国でした。楽毅が中山国に仕えていたときに、中山国は趙によって滅ぼされたと言われています。
中山国の遺臣となった楽毅が燕の昭王に仕え、斉を滅亡寸前まで追い込んだ
中山国の遺臣となった楽毅は、斉に復讐を果たしたいと考えていた昭王に仕えることになります。そして、実際に斉を滅亡寸前まで追い込むことになります。
燕という国は非常に小さな国で、軍事力だけではどれだけ優秀な軍師でも大国である斉を滅亡寸前まで追い込むことはできません。楽毅は軍事力だけでなく、政治力、外交力を駆使して、韓・魏・趙・秦との連合軍の大将軍として斉を滅亡まで追い込んだのです。
燕という小国の将軍が大国との連合軍の大将軍になぜなれたのか
大将軍や軍師というと、三国志演義の諸葛亮孔明のような少数の兵が大軍に勝つということをイメージするかもしれません。確かに楽毅にもそのような一面はあるのですが、本当に面白いのは、燕という小国の将軍が大国との連合軍の大将軍になぜなれたのかという点にあります。
この点については、ぜひ、宮城谷昌光著の「楽毅」を読んでいただきたいです。
- 発売日: 1999/10/30
- メディア: ハードカバー
楽毅を楽しめた人におススメの本
楽毅を読まれて楽しめた人にとっての次のおススメ本は、上記、文中にも買いている「孟嘗君」です。
「孟嘗君」は私の一番好きな本と言っても過言ではありませんので、その紹介は別の機会にしたいと思いますが、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/01/09
- メディア: Kindle版