コワーキングスペース コワーキングスペースの現状や業界知識

コワーキングジャパンを3年間運営して感じるコワーキングスペースの現状

コワーキングジャパンを3年間運営して感じること

私はコワーキングジャパンというコワーキングスペースのポータルサイトを運営しています。現在の掲載件数は800件を超え、日本で一番掲載数の多いコワーキングスペースの紹介サイトだと思っています。このサイトを運営している関係で、コワーキングスペース業界の動向について登壇してもらいたいという依頼を受けたので、その原稿のベースとしてこの記事を作りました。

目次

2015年から2018年の3年間で3倍以上に増加しているコワーキングスペース

コワーキングジャパンの運営開始は2015年7月です。結果的に見て、2015年は一気にスペース数が増
えだしたタイミングのように思います。これは偶然というわけではなく、潜在的にそのような状況であったので私がコワーキングジャパンを運営開始したし、コワーキングスペースUmidassの運営を開始したのだと思っています。

ちなみにコワーキングスペースが日本に誕生したのは2010年で、神戸のカフーツです。代表の伊藤さんとはコワーキングジャパンの取材を通じて知り合い、懇意にさせていただいております。

まず、3年間の経緯を振り返る前に、コワーキングジャパンのビジネスモデルを軽く説明

コワーキングジャパンは、日本にあるコワーキングスペースをすべて紹介しようという趣旨で運営を開始しました。コワーキングスペースが増えたと言っても、カフェやカラオケ店のように適当に街を歩いて見つかるほどの数があるわけでもなく、目立つ立地にもないため、コワーキングスペースを探すことが簡単ではないため、すべてのコワーキングスペースを網羅したいというのがスタートでした。

そういう理由があるので、コワーキングジャパンは、無料でコワーキングスペースを掲載できます。運営開始時点では、日本に存在するコワーキングスペースをネットやSNSを使って、探して勝手に掲載することから開始しました。一応、事後承諾の連絡はしてましたが、無料掲載の形をとったので、基本的にスペースから掲載を断れることはありませんでした。

ビジネスモデル的には、無料でスペースを掲載することでSEOを強化し、adsence広告や有料バナー広告、有料取材記事で収入を得るという形になります。儲けることを考えると掲載料金を取る方が良いかと思いますが、そうすると掲載数が減るので有料掲載にすることは将来的にも考えていません。

運営開始時点では300件弱の掲載数だったが、現時点(2018年8月)で掲載数は800件

すでに書いたように運営開始当初は自らコワーキングスペースを探して掲載するという形をとっていました。その時の掲載数が300件弱でした。後から存在を知ったスペースもありましたが、意外と見落としはなく、2015年8月時点で日本に存在したコワーキングスペースは400件前後ではないかと思います。

現在(2018年8月)の掲載数は、800件ですが、これまでの推移としては、

2016年12月:600件
2017年12月:700件
2018年7月:800件

という形になります。(残念ながら500件のタイミングは記録をしていませんでした。)かつては、こちらから掲載をお願いする立場でしたが、現在ではオープン前のコワーキングスペースからも掲載依頼が来るようになりましたので、ほぼ網羅しているはずです。

600件から700件に増えるのに1年かかりましたが、700件から800件までは半年ほどしか要しませんでした。それだけコワーキングスペースが増えるペースが上がっているということです。

※コワーキングスペースを名乗っていてもこちらの判断で掲載していないスペースもあります。コワーキングスペースを名乗っているスペースをすべて入れると現時点でちょうど1,000件くらいかと思います。

2015年にコワーキングスペースが増加し始めたと書きましたが、大阪でも私の運営するUmidassを始め下記のようなスペースが2015年運営開始です。

コワーキングスペースと一口に言ってもその定義は曖昧でさまざまな事業者が参入

では、これだけコワーキングスペースが増加しているかというと、コワーキングスペースの定義が曖昧ということと、さまざまな事業者が参入しているということが言えます。

もともとコワーキングスペースと言えば、日本で最初のカフーツや大阪で最初のコワーキングスペースであるJUSO Coworkingのような

個人や零細企業が運営するアットホームな小規模スペースが中心でした。それがこの2年ほどでさまざまな事業者がさまざまな目的を持ってコワーキングスペースの運営を開始し始めました。

Yahoo! JAPANが2016年11月にLODGEの運営を開始し始めたのはその象徴的な存在かと思います。

それまでも大手企業によるコワーキングスペースが存在していましたが、LODGEほど大きく社会に知られたスペースはなかったかと思います。

最近ですと森永製菓がオープンしたコワーキングスペースMORINAGA Village【森永ヴィレッジ】が少し話題になったように思います。

コワーキングスペースの運営形態の分類

従来の小規模なコワーキングスペースを含めて、コワーキングスペースの運営形態を分類すると以下のようになります。

従来型の小規模なコワーキングスペース

コワーキングスペースを生業の中心と据えておらず、別事業との関係の中で成立していることが多い

コワーキングスペースを生業とする大規模なコワーキングスペース

少しずつですが、チェーン展開をするコワーキングスペースも増えてきました。

最近、チェーン展開を強めているスペースとしては、COfficeEniciaCoin spaceなどがあります。

コワーキングスペースを直接の収益事業ではなく本業のプラスとして運営しているスペース

すでにあげたYahoo!JAPANのLODGEは、無料でスペースを提供しているのですが、コワーキングスペースを直接の収益事業とは見ておらず本業に何かしらのプラス効果があるということで運営している巣スペースも結構あるとみています。

個人的な意見としては、周囲の価格破壊を起こすような形の運営はどうなのかという疑問はありますが。。

事実上レンタルオフィスだが、コワーキングスペースを安価なプランとして提供

レンタルオフィスも最近ではコワーキングスペース、コワーキングエリア的な場を用意するところが増えてきました。安価なプランとして提供しているケースが多いですが、単なるSEO対策的な形でコワーキングスペースと名乗っているところも多くあります。

自治体等によるコワーキングスペース

地方や郊外の自治体によるコワーキングスペースも増えてきました。インキュベーション施設として存在しているケースも多いです。最近、コワーキングジャパンに掲載をして記憶に残っているスペースとしては以下のようなスペースがあります。

ここまでは運営方式について分類してきましたが、運営形態とは別で特長を持つスペースもあります。

特長的なコワーキングスペースのサービス

最近、増えている特長的なコワーキングスペースのサービスとしては以下のようなものがあります。

子連れ可能なコワーキング

子連れで利用可能なコワーキングスペースが増えています。保育施設が併設されているところもあれば、子供を連れてきても構わないというスペースもあります。

モノづくり設備のあるコワーキングスペース

2年ほど前からモノ作り設備のあるコワーキングスペースも増えています。ベンチャー企業や個人だけでなく、大企業のプロジェクトチームが利用するというケースも多々あるようです。

地方・郊外のコワーキングスペース

地方や郊外でのコワーキングスペースも増えています。テレワークが進む中で子育てとともに地方、郊外のスペースのニーズも増えています。

コワーキングスペースの定義が曖昧だからさまざまなスペースが存在している

なぜ、これだけ多様なコワーキングスペースが存在するかと言うと、コワーキングスペースというものの定義が曖昧だからです。コワーキングジャパンで掲載作業をしていても、これがコワーキングスペースかと疑問に思うことも少なくありません。

コミュニティの存在の有無やドロップインの有無がコワーキングスペースなのか

コワーキングスペースの定義は曖昧なものの、多くの人の思う共通項としてはコミュニティが存在するということです。ただ、このコミュニティに対する考えも人によってさまざまです。頻繁に会員同士での交流が発生するような密度の濃いコミュニティを求める人もいれば、挨拶程度のコミュニティでよ
いと思う人もいます。(個人的には後者)

また、利用方法についてもドロップインの有無というのも一つのポイントです。個人的にはドロップインは必ず用意してもらいたいと思っているのですが、そのあたりは運営方針にもよると思っています。

コワーキングスペースと名乗っているが、コワーキングスペースとは言い難いスペースがあることも事実ですし、これからも想像をしていない形態のコワーキングスペースが増えてくると思います。ただ、そんなことも含めてコワーキングスペースが広まることは現時点では業界的にはプラスかと思います。

コワーキングスペースは増え続けているが閉店も増えている

コワーキングスペースは増えていますが、おそらく15%ぐらいのスペースは撤退していると思います。コワーキングジャパンで閉店を確認しているだけで50件以上あります。実際にはその数倍あると思います。(確認が取れないのでコワーキングジャパン上では閉店に変更できないスペースもいくつかあります。)

最近では、名古屋を中心とする大規模なコワーキングスペースMyCafeが倒産というニュースがあり、一部では衝撃でした。

なぜ、閉店するのかといえば、単純に収益を上げるのが難しいためです。別の機会であらためて詳しく書こうと思いますが、閉店しているスペースの特長としては、

  • 月額料金システムがない - 安定収益がない
  • 大きな(初期)投資をした - 利益率が低いので回収できない
  • 小規模すぎて席数が少ない - 売上の上限が低い

ただ、勘違いしていただきたいくないのは儲からないビジネスではないということです。別の機会にあらためて書こうと思いますが、15%が閉店しているとはいえ、飲食店の閉店率に比べるとはるかに小さな数字です。

逆に儲かっている、売上安定していると思われるコワーキングスペースは、登記利用やシェアオフィスでの固定収入をきちんと確保している、幽霊会員が多いということが言えると思います。

特に大きなスペースほどバーチャルオフィスでの収益を重視しているように思います。

今後のコワーキングスペース業界はどうなるのか

フリーランスの増加、テレワークの増加とともにコワーキングスペースのニーズは増加しているのでコワーキングスペースは増えていくと思います。

テレワークが進めば、自宅で仕事をすれば良いと思われるかもしれませんが、自宅では筋トレができないからスポーツジムが存在するのと同じ理由でコワーキングスペースであるかは別にしてオフィスは必要なのだと思います。

正直なところ、コワーキングスペースという名称は変わるかもしれません。かつて、よく耳にしたSOHOという単語を聞かなくなったのと同じように取って変わる単語があるかもしれません。特に日本においては、コワーキングという響きがいまいちと思っているので、取って変わるネーミングがあるのであればそれに越したことはないと思います。

ただ、これまでのように都心部に集中するのではなく、地方、郊外でこそ増えていくのかと思います。テレワークが進んでも都心部に出る(通勤する)のであれば、テレワークのメリットを活かすことができないので。

現状でもコワーキングスペースが多い地域とまったく存在していない地域があります。これはその地方で最初に誰かが苦労したとか、自治体が頑張ったとかそういう差なんだと思います。そういう意味では、地方。郊外においては地域格差は拡がるのかなと思います。

-コワーキングスペース, コワーキングスペースの現状や業界知識
-

【ブックマーク等はこちら】
【RSS、feedly、twitterでのフォロー】
RSS follow us in feedly